<リッキーが逃げた!>

これは休みの日の恒例行事でした。

2階の自分の部屋にいると、下から母の「リッキーが逃げた」という叫び声が聞こえます。私は「もう、窓を開けるときは気を付けてって言ってるじゃないの」と声を上げます。

母は「でも、一瞬だったから」と言いながら、少ししゅんとした様子です。

私は外に出て、いつものように「リッキー!リッキー!」と大きな声で雄猫を呼びながら、近所を歩き回ります。近所のおうちでは、「ああ、また。。。」と笑っているに違いない。

そして案の定、なかなか帰ってきません。だんだん薄暗くなってきます。

それから、母は縁側の窓を少しだけ開けて、小さな椅子をもってきて座ります。 しばらくすると暗い庭のどこからか、チリリ、チリチリとかすかな音がして、白い塊が飛び込んできて、それは何もなかったかのようにそのまま餌を食べに行ってしまいます。

すると母は、いつも決まって言うのです。

「ほら、ちゃんと帰ってきたじゃない。」

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