もともと着道楽でした。クローゼットの中には服がたくさんあり、毎朝どれを着ていくか悩んでいました。
でも、介護が始まってからはそんな時間はありません。出勤前にやることが山ほどあります。
仕事に着ていく服も、だんだん限られていきました。考えなくても合わせやすい色とデザイン。
夏なら洗濯機で洗えてすぐ乾くもの。
しわになりにくく、アイロンがけのいらないもの。
クリーニングが必要な服は、できるだけ避けるようになりました。
そんな毎日を送っていたある日のことです。
出勤してしばらくすると、なんとなく首まわりが窮屈でした。
「何だろう?」
違和感を覚えながらも、そのまま仕事をしていました。
ふと目を落として着ている服を見ると、裏返しです。
いや、それだけではありません。
前後ろも逆でした。
つい声が出てしまい、前と横に座っていた会社の人にも気付かれてしまいました。
今思えば、朝はいつも時間との勝負でした。
服を選ぶ余裕どころか、ちゃんと着ているか確認する余裕までなくなっていたのかもしれません。

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